2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博。開幕からわずか1週間で、総入場者数が70万人を突破するほどの盛況ぶりです。
そんな中、万博の会場でちょっと気になる――いや、正直「これは大丈夫なの?」と不安になるような出来事が注目を集めています。
それは、「警備員が土下座している動画」がSNSで拡散され、大きな波紋を呼んでいるという話。
この記事では、その動画の内容や現場の様子、そして気になる「これはカスタマーハラスメント(カスハラ)なのか?」という疑問について、専門家の意見や世間の反応も踏まえて、丁寧にお伝えします。
万博で起きた“土下座動画”とは?
2025年4月17日午後4時ごろ、大阪・関西万博の西ゲート付近で撮影された動画。そこには、大勢の人が行き交う中、怒鳴っている男性と、その前で土下座をする警備員の姿が記録されています。
現場に居合わせた撮影者はこう語っています。
「警備員さんに『土下座しろ』的な大きな声が聞こえて、(撮影を始めたら)警備員さんが本当に土下座したんです。何があったのかはわからないけれど、横にいた警備員が『これがカスハラなんだな』と話していました」
怒鳴っていた男性は、その後、やってきた家族とともにその場を離れたそうです。
SNSでは「これはカスハラ」派が多数
この動画がSNSに出回るや否や、多くのユーザーが反応。
「人前で土下座させるなんて完全にアウト」「警備員さんがかわいそう」「カスハラにもほどがある」といった声が多数上がっています。
一方で、「動画だけでは判断できない」「何があったか詳細が不明」と冷静に見守る意見も。
確かに、動画は“結果”だけを映しているに過ぎず、前後のやりとりがないため、完全な判断は難しいところです。
そもそもカスタマーハラスメントとは?
ここで改めて「カスタマーハラスメント(通称:カスハラ)」について確認しておきましょう。
厚生労働省はカスハラを次のように定義しています。
「顧客などからのクレーム対応などの際に、従業員に対して不当に威圧的な態度を取ったり、人格を否定するような言動を行ったりする行為」
例えば…
- 過剰な謝罪要求(何度も頭を下げろ、土下座しろ等)
- 長時間の拘束や暴言
- 私的な連絡先を聞き出す、つきまとう
…などが該当します。
つまり、“謝罪を超えた人格攻撃”や“常軌を逸した要求”があった場合、それはカスハラになり得るというわけですね。
弁護士の見解「カスハラに当たる可能性はあるが…」
今回の件について、弁護士の亀井正貴氏は以下のようにコメントしています。
「土下座の前に、警備員に対してどんな発言があったかが重要。もし自主的に土下座をしたならカスハラとは言い切れないが、強制や威圧があればカスハラに該当する可能性が高い」
つまり、土下座という“行為”だけではなく、その背景にどんなやり取りがあったのかが判断材料になるということですね。
動画に「土下座しろ」という声が入っている以上、それが命令だったのか、冗談や誤解なのか――ここが判断の分かれ目です。
なぜ土下座は「強要」に当たることもあるのか?
実は、「土下座しろ」と命じる行為は、強要罪(刑法223条)に問われる可能性もあります。
刑法によれば、
「他人に義務のないことを強いて行わせた場合、それが脅迫や暴行によるものであれば強要罪が成立する」
土下座は本来、謝罪の一形態ですが、強制された場合は“人格の否定”として問題視されるケースが多く、企業では「絶対にさせてはいけない」とされています。
万博運営側にも求められる対応
この件を受けて、多くの人が指摘しているのが「運営側の体制」。
専門家も以下のように話しています。
「従業員が安心して働ける環境を整えるのは運営側の責任」
つまり、現場のスタッフが過剰なプレッシャーや不当な要求から守られる仕組みが必要というわけです。
たとえば…
- クレーム対応のマニュアル整備
- 警備スタッフへのメンタルケア
- トラブル時の第三者対応体制の強化
など、今回の出来事をきっかけに、万博の現場改善が進むことを期待する声も高まっています。
まとめ:私たちにできること
この“土下座動画”は、単なる一時的な炎上ネタではなく、**現代社会における「働く人の尊厳」や「お客さまとの適切な距離感」**を問い直す出来事だったのかもしれません。
万博のような大規模イベントでは、来場者とスタッフの接点が無数にあります。
その中で、「お客さまは神様です」の一線を超えて、相手の人権を脅かすような態度は、決して許されるものではないと、私たち一人ひとりが認識することが必要です。
最後に
土下座の真相は、今後の調査を待つしかありませんが、この動画を見た私たちが感じた「違和感」や「モヤモヤ」を大切にしつつ、よりよい接客と職場環境について考えるきっかけにしたいですね。







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